わたくしは、あめのつぶです。
かつて大地を巡り
川を漂流し
海を揺蕩い
空へと駆け戻り
また露となって大地へ降り注ぐ。
ただの無力なあめのつぶ。
幾度となく繰り返せば
やがて石をも穿つなんて
本当かしら。
迷信だっておもいます。
どこへともなく
降って落ちてゆくあめのつぶ。
あの崖の上に
一輪だけ咲いている白い花。
いつかきっと
その花弁に優しく降って
茎を伝いそっと染み込み
儚き花の一瞬を彩り
潤したいものです。